空の青さに目を細め俺は大きくため息をついた


「なぁ、いつまでやるの?」

「まだまだぁ!」


熱血でいるのは結構だ

そしてそれを見てるのは実は嫌いじゃない

でもそれを悟られない様に俺は欠伸をする真似をした


「熱心だなぁ」

「ユリコのためだからな!!」

「・・・ふぅん」


それを少しでも俺の為に活用してくれないかな?


「・・・っ、ご苦労なことだ」


言いそびれて言葉を飲み込み喉の奥へと流し込んだ

砲丸の落下音が鈍く重く、いっそ清々しいほどの空の青さに吸い込まれていく






+過激な武器オタクは愛情恋慕の夢を見るか?+






「三木くんはユリコやサチコがいれば他になにもいらないのか?」

「っ」


俺の言葉に三木くんは砲丸を持つ手を止めた


「なんだって?」

「だからぁ、三木くんにとってはそれがすべてなのか?」

「そんなわけない。私にはまだ欲しいものがある」

「何?」

「照星さんに火縄銃や色々なことを教わりたいしな」

「・・・っ、ほぉ」


いっつもお前の特訓に付き合ってあげている俺を差し置いて

照星さんを出してくるとはいい度胸だな、三木くん

言っとくけど照星さんより俺のがお前のこと知ってるからな


「なんだ?が照星さんを連れてきてくれるのか?」

「んなわけねぇだろ。俺はそこまで照星さんと仲良くないし、
照星さんも忙しいだろうからな。そう簡単には来てくれないだろう」

「そうなんだよな。私より1年は組の虎若に教えてばっかりだし」

「そりゃ、虎若のが親交深いからじゃない?」

「私だって教わりたいぃいっ」

「嘆くな。嘆いたって何も変わらないぞ」


これ以上何か言ってもしょうがない

そりゃそうだよな。

こんな火器オタクの三木くんに愛や恋を言うこと自体間違ってるし

期待してたわけじゃないんだからな


「しょうがねぇな」


俺は大きくため息をつく

空の青さにもうちょっとだけ付き合ってやっても良い

近くの岩に腰掛ける


?」

「もうちょっとだけ特訓に付き合ってやる。
俺が三木くんに出来ることはそれくらいだからな。」

「っ////」

「ん?」

「な、何でもない!!それより

「何?」

「そうやって滝夜叉丸や喜八郎の前では笑うなよな」

「は?何でだよ、」

「な、何でって・・・っ」


三木くんは顔を赤くして俯いてしまう

俺は意味が分からなくて?マークを浮かべるだけ


「それぐらい察しろ!馬鹿っ!!」

「はぁあ!?付き合ってやってる俺によくそんな口聞けたもんだな!!」

「うるさい!お前が悪い!」

「なぁんで俺が悪いんだよぉっ」


所詮お前は過激な武器が大好きだから

・・・こんな愛情恋慕には興味ないんだろ。

あ、こいつの前では俺って異性じゃなくて同性じゃんか


女装の授業は幾千も受けてきた

どれもこれも完璧に出来たつもりだった

三木くんに見せたら赤い顔をして早く着替えろって怒られた。

その時もその恰好を他のやつに見せるなって言った。

授業だし、そういう練習なんだから無理だって言ったら

今回みたいに怒られた気がする。今になって思い出す


「三木くん。」

「なんだ?」

「もしかして俺の事好き?」

「ぶっ!!!」


放たれた砲丸はヒョロヒョロと3mほど飛んで近くに落ちる


「い、いきなり何を言うんだお前はっ!!」

「だって・・・」


怒り方が半端なくて

思わず後ずさりしてしまう。


「私がのことを?!冗談じゃない!!」

「なんか、ごめん」

「もしそうだと言ったらお前は驚くだろうが」

「・・・・・・・・」


世界が制止した気がした

それはどういう意味で言ってんだよ、この火器オタクが


「それってどういうことだよ」

「何がだよ」

「無自覚で言ったのか?」

「だから、何がだよ」

「何でもねぇよ。」


嗚呼、こんな過激な武器オタクでも


「三木くんもそうやって顔を赤くすることがあるんだな」

「うるさい」

「ユリコかサチコ、照星さんじゃなきゃそんな顔させられないかと思った」


白々しく微笑んで見せ、

少しばかりの苦い思い出を胸に隠す



「馬鹿にするのもいい加減にしろ」

「痛」


武器オタクはそう言って俺の頭を軽く叩く。


「私だって人間だぞ」

「知らなかった」

「嘘つけ」

「・・・俺も、人間だ」

「知ってる。邪魔するなよな。そこで黙って見てろ」

「はーい」


帰れって言わないあたり

どっか行けって言わないあたり

黙って見てろっていうあたり

どうやらこの火器オタクも少しは愛情恋慕に興味があるらしい


「なぁ、三木くん」

「お前は黙って見てろって言ったのに1分も大人しくできないのか」

「俺も三木くん好きだぜ」

「ぶっ!!!」


放たれた砲丸は本日二度目のことであり

ヒョロヒョロと3mほど飛んで行って近くに落ちた

それがさっきとデジャブである


「あれ」

「お前は私の特訓を邪魔したいのかっ?!!
ふざけたことを言いおって!!大人しくしてろって言ったじゃないか!」

「だってホントの事だし」

「ホッ、ホントの事でも後で言え!今言うなっ!!」

「後ならいいの?」

「〜・・・っま、まぁ聞いてやらないこともない」


わざとらしく咳払いして三木くんは後ろを向いてしまった

俺はそんな三木くんが面白くてニヤニヤと眺めた


「笑うな。気が散る」

「サーセン」


好きだな。

普通にこんなことしてるのだって好きだけど

ねぇ、もっと俺を見てほしかったりさぁ

三木くん

砲丸なんて放っておいて

ユリコもサチコもカノコも全部全部、・・・馬鹿




「やっぱりこの滝夜叉丸が一番美しい!!」

「そんなことないよ。の方が可愛い」

「喜八郎も美人だぜ」

「ほら皆ー!髪の毛やるから来てー」


タカ丸の声で全員がぞろぞろと列を成す

女装の授業in課外編(い組only)

街に行って男を1人おとして来いと言われた

まぁ俺だったら楽勝だろうけど


「制限時間は日の出までだ!
出来なかった奴は補修だからなー!!」


先生の声で俺らは各地に散った


「どうせ声をかけられるのなら一番いい男にかけられた奴が勝ちってことにするぞ」

「何の勝ちだよ?」

「負けた人は僕らに団子を奢るってことで」

「よっしゃ!のった!!」

「勝者はこの滝夜叉丸と決まっているだろう」

「有り得ない。かっこいい男をおとす自信なら僕にだってある」

「お前らには負けないぜ?なんたって団子がかかってるんだからな。
ただでさえ休日授業でうんざりしてるんだ。何が何でも勝ってやる」

「じゃあ日の出までにここに男を連れてくること」

「了解だ」

「負けないから」

「当然」


2人は意気込みながら別々の道に分かれて行った

はそれを見送ると大きく息を吐いてクルリと踵を返した


「・・・はぁ、ホントはやだなぁ」


三木くんと城下に行きたかったのに

授業な上三木くん以外の男と一緒にいろなんて嫌だ


「あ、ねぇねぇお姉さーん。一人?」

「・・・」

「良かった俺らとそこで団子でも食べない?」

「おあいにく様。あんたらと遊ぶほど私は安くない」

「うわ、ひでぇっ」


どうせ勝つのならかっこいい男

3流の奴なんかに興味がない

早く終わって三木くんと団子食べるんだから!
(↑勝つ気満々)


「・・・ん?」


火薬売りの露店の付近に見覚えのある着物

眼を凝らしてよく見ると見知った人物


「み、三木くん・・・」


あっちはこっちに気づかず必死に火薬を見ている

バレたらどうせ似合わないとか馬鹿にされるどころか!!

男連れだと思われて誰も近寄らない!

もしくは近寄ってきてもそんなとこ三木くんに見せたくない!

逃げるが吉!!


「お姉さん」

「?」

「火薬の方を見て何?火薬が好きなの」

「いえ、別に。」


話しかけてきた男はかなりのいい男

滝たちには馬鹿にされない挙句良い勝負になりそうだ


「暇だから見ていただけなの」

「暇なら俺とお茶でも飲まない?美味しい団子屋があるんだけど」

「・・・えぇ、いいわよ」

「やった。こっちにあるんだ」


さっさと終わらせて三木くんのところ行くから。

今日付き合えなかったお詫びにお団子あげるから

待っててね、三木くん


心で謝りながらもは男についていった








「はぁ、いいのがないなぁー」


がいたら

穴場なところとか連れて行ってもらえたのに


「仕方ない。出直すか・・・ん、」


見覚えのある着物

が女装する時によく使う色柄だ

男と一緒にどこかへ向かう途中


(あいつ授業だったのか、い組は大変だな・・・。)


邪魔をしないように回れ右をしようとした瞬間


「ねぇ、あの人知ってる?」

「あの人って?」

「ほらあの可愛い子と一緒に居る男ー」

「何々?」

「なんかこないだ知り合いの女の子がさぁ
無理やり路地裏に連れてかれて数人の男に無理やりやられたらしくってー」

「えー。じゃああの子ヤバくなーい?」

「多分あんな着物の柄だったと思うし顔は良いって言ってたから」

「その男は参加するの?」

「何か金をもらうらしいよ。4,5人のおっさんに無理やり」

「うわぁ、可哀想ー」

「どうする?人呼ぶ?」

「でも私らも危なくなったら嫌だし」

「う、ん」


「!!!」


その話に三木ヱ門は踵を返してその話をする女の人たちに詰め寄った


「そいつ!そんなに危ないんですか?!」

「え、」

「あー、さっきの話?」

「その話本当ですか?!」

「うん。ホントだよ」

「あの男の見た目だった気がする。」

「だったら君、ヤバいよ!大柄の男たちらしいし。」

「大柄・・・」


いくらが忍者として優秀であっても

女装の授業で大した装備もなく大柄の男たちに無理やりなんて逃げられない

が男であることがばれても後々厄介だ


「友達?」

「・・・っ、大事な、大事な子なんです」


!!




「こんな錆びたところにお団子屋なんてあるのー?」

「あるって。穴場だからさ。もうすぐ」

「・・・ねぇ、思い出したんだけどさ」

「何が」

「前に街に行った時色男に声かけられてついて行ったら強姦されたって子の話」

「っ、危ない奴もいるもんだね。気をつけないと」

「その色男の特徴が、青い着物。そして、首元のほくろ」


男は急いで首元を隠した

は眉をひそめてじっと男を見た


「なるほど。ホントなら成敗してやりたいけど今は時間ないからまたね。」

「逃がすかよ。」

「?!」


男が懐刀を抜いた

の着物が少し刃に当たり切れる


「あーっ!!この着物お気に入りだったのにーっ!!」

「お前みたいな上玉連れてったらきっと礼も弾むだろうな!」

「下衆野郎」

「可愛い顔に傷つけられたくなければ言うこと聞けよ。
それともこの場で、そのお気に入りって言う着物全部切り刻んでもいいんだぞ」

「っ;」

「さぁ、言うこと聞いてこっちに来い。出来るだけ商品に傷はつけたくないんだ」


どうしよ、蹴り飛ばしてもいいんだけど

その実際の男たちが潜んでたら・・・。

いくら私でも今は武器もないし、こんな街中で飛びまわるわけにもいかないし

あいつの武器を奪えば、でも目立つ行動してもいいのか?

背に腹は代えられないし


「・・・っ「待て!!」

「?!!」

「はぁ、やっと見つけた・・・っ!」

「あ」


(三木くんっ!!)


「チッ、なんだよお前!!」

「こいつに手を出すな!」

「なんだ?お前の女か?」

「っそうだよ!文句あるか?!」

「―――――――――――――――――――――っ」

「彼女の前でかっこいいとこ見せたい気持ちも分かるがお門違いだ!消えな」

「誰が消えるか!」

「うわ、」


三木ヱ門はの腕を引っ張って自分の方に引き寄せた

そして前に立ちはだかる


「・・・っ////」


三木くんの心臓の音が聞こえる

緊張してるのか怖いのかは分からない

だけど同時に私の心臓も、うるさくなる

危機的状況だからかもしれないけど吊り橋効果ってやつ?

三木くんがすごくかっこよく見えるから


「く、「三木くん、武器借りるね」

「え」


は三木ヱ門の胸元からクナイを借りると

男に向かって突き付けた

よろけた男の上に馬乗りするように首元にぴったりクナイをあてがう


「消えろ。それはお前の事だ。ここで首を掻っ切ってもいいんだぞ。」

「ひ、」

「3秒数える。消えろ。嫌だって言うんなら・・・」


グッと力を入れると男は涙目になりながら叫んだ


「わ、分かった分かった!消える消えるからっだから殺さないでーっ」

「・・・失せろ」


低い声でそう言うと男は腰を抜かしたままよろよろと逃げて行った

はそれを冷めた目で見つめると大きくため息を吐いた


「・・・?」

「あーあなんてことをぉ。滝と喜八郎とかけてるんだからな」

「賭け?」

「誰が一番良い男を連れてくるかって」

「なっ?!」

「あの男顔は良かったから適当に苛めぬいて連れて行けば完璧だったかも」

「・・・で、でもお前怯えてただろうが」

「っ」

「顔見れば分かるぞ。私が来た時安心した顔をした」

「怖かったのはホント」

「!」

「だって武器もないしさぁ、こんなかっこだし。」

「良かった、」

「え」

「間に合ってよかった」

「っ」


三木ヱ門はを抱きしめた

は顔を赤くして体を震わせたが三木ヱ門にゆっくり体を預けた


「来てくれてありがとう」

「あぁ、」

「良い男ってことで三木くん連れてくのなしかな?」

「なしだろう。それは・・・いくらなんでも学園の者だし

「そか、残念だな。俺の知る限りで三木くん以上の色男知らないし」

「と、当然だろ。私は学園のアイドルなんだ」

「残念。違う男を探すかー」

「・・・

「ん、・・・ッ」


三木ヱ門はの唇を奪う

誰もいない路地の裏で


「三木く、・・・んぅ」

「・・・を私だけのものにしたい」

「―――――――――――――――――――――」

「危ない目にあわせたくない。より強くなる。駄目か?」

「三木くん」

「・・・っ」


もう一度深く口付けた後

ゆっくりと三木ヱ門は唇を離す


「二度と離したくない」

「っ」


そ、っとは三木ヱ門の体に触れる


「こんな授業嫌だった。三木くんに見られるのが嫌だった
変な誤解とはしないと思うけど、俺には三木くんだけだって思ってほしかった」

「あ、」

「俺の体に触れていいのは三木くんだけなんだよ」


くらりと意識が遠のく感じに三木ヱ門は至福を覚える

の頬に優しく触れて見せる。

その反応でビクリと体を震わせるを見て可愛いと思った


の全部を奪いたい」

「でも、行かないと、」

「もう少しだけ。」

「・・・うん。もう少し、だけ」


そうお互いが納得すると唇をもう一度交わす

深く 濃く 何度も。

それが終わるともう一度「もう少し」と呟いて繰り返す





は一体何をしてるんだ?!!」

「僕のが良い男だった」

「何を言う?!私のが良い男だった!!」

、まだかなぁー」

「吟味しすぎて遅くなったのだろうな」

「馬鹿だな、適当に妥協しなきゃ」




後日談


「うわぁああんっ」

「な、なんだよ?!涙ながしながら来るなよ。ユリコが濡れる」

「三木くんの所為で女装の授業補習なんだぜ!」

「私の所為か?!」

「そうだろ!俺は行かなくちゃって言ったのに!!」

「お前ももう少しって言ってただろうが」

「うーうーうー、補習だ」

「同じ内容か?」

「そう。」

「・・・嫌だな。」

「え」

が他の男に触れられるのは嫌だ」

「っ////じゃ、じゃあ見張ってる?」

「う、うん。見張ってる」


お互い顔を赤くして俯いてしまう


「その補習が終わったら団子でも食べよう」

「食べる。」

「夜はお前の部屋行くから」

「何しに?」

「決まってるだろ。部屋に行く理由なんてひとつだけだ」

「・・・三木くん?」

「まさかまさかとは思っていたがこないだ抱きしめたので確信がついた」

「・・・・・・・・なるほど。上等だぜ」



過激な武器オタクは今日も

不良男装少女に抱かれ愛情恋慕の夢を見る――――――――――――――・・・

END
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